[言葉にならない//Amuro.Ray ver.1/b] |
「な…ッ!」 これが、大の大人がすることか。無邪気な笑顔満面のジュドーに、アムロは怒りを殺がれた。ただ呆然と、するしかなかった。 『もういい、代われよジュドー』 「カミーユ、」 画面に不意に現れた麗人に、息を飲んだ。不機嫌な声も現れた顔も、体の線の細さも変わらない。 『貴方のことだから、たかだか大の男の誕生日の為にバースデーメールなんぞふざけた物を送って、下手に居所を連邦政府に知られてどうするんだ、このバカヤロウ…ぐらいの事を考えていらっしゃると思います』 「おいおい…俺はそんなに口汚くないぞ」 平然と言ってのける彼らしさに、プッと噴出す。 『俺たちにそんな配慮はありません。地球連邦政府の政策転換についてご報告と、貴方に渡したい情報がたまたま誕生日近くになっただけですから』 医師が軽傷者へ説教するような淡々とした喋りざまの彼に、アムロは苦笑を禁じえないでいた。 『この際、最後だから、俺の本音を打ち明けます』 「……」 『地上で、初めて貴方に出会った時から、俺は、貴方が大嫌いでした』 「……知ってたよ」 『成り行きでエウーゴに参加したばかりの俺に、大人たちはアムロの再来とかだなんだと騒ぎ立てた。俺は、貴方の代名詞じゃない』 「うん」 『貴方は、俺じゃない』 「俺も、君じゃない」 『でも、それだけで俺は貴方が嫌いなんじゃない』 「…うん、わかってる」 承知の言葉を零しながら、アムロはチクチクと疼く胸の中心でじわりと暖かい熱を孕む己がいることに首を傾げた。そういう心の機微には疎い人間だと自認していたのだが。 「カミーユ…」 いじましい程に一途だ。 い』 『それでは、さようなら。アムロさん、誕生日おめでとうございます』 |
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